薬局は必要なのか?

最近、薬歴未記載問題が取りだたされていますが、正直どうなんでしょう?※院外薬局において

一般の人、医療系の人、薬剤師でそれぞれ意見が色々あると思います、

一般の人の意見:「高い給料もらってんのに、しっかりしろよ」、、、、っていうか「薬歴」ってなに?

医療系の人の意見:「こっちには迷惑かけないでね」、、、、「薬歴ってみたことないなー」

薬剤師の意見:「まあ書かない人もいるかもねー、個人薬局とかはとくに」


薬剤服用歴(薬歴)
薬剤師が患者の病状や、薬の飲み方などを説明した内容を記録する。服薬中の体調変化▽副作用が疑われる症状の有無▽併用している薬▽残薬状況――などを記録。患者が再び来た時に備え、いつでも参照できるように管理されていなければならない。


結論として、私は薬歴は必要であると思います。
なぜなら実際の現場で、残薬の確認(前回の記録からすると5日は薬を飲んでいなかった)、服用歴(以前似た薬で副作用を経験していた)などなど、結構問題点を見つけることにつながります。もちろん、病院側でも記録を残しているので、ダブルチェックになりますが、薬剤師の職能的意義の大きい部分がこの二重確認の部分なのです。医師や看護師も多忙な職業ですのでヒューマンエラーが起こります。
ただ、今回のように未記載の問題が発覚すると、一般的な意見としては、薬歴はなくても問題なかったのだからいらないのでは?という意見が出てくるのは至極真っ当です。
実際問題、数年も同じお薬を飲まれてる方で服用状況が良好な方など、管理が必要ない患者さんもいるのも事実。(こういう患者さんも途中で何らかの問題が見つかることもあります、ここが薬剤師の職能意義でもあります)
この点については薬歴の管理を任意にするかなど色々議論の余地がありそうです(薬歴は患者さんに問題が起きた時の保険というような説明をすることが多いです。任意で選択となると副作用で問題が起きた時に自己責任のようなかたちになる?)

上記のように長々と書いてきましたが、今回の問題の根底にある問題は「薬剤師の能力」および「医療制度」にあるように感じます。

まずは能力不足。優秀な薬剤師もいますが、全体としては医師をピラミッドとした構造の下位に位置していて、医師に意見するほどの知識がありません。これは経験による部分も多いですが、医師の処方のチェック機能として、能力の劣るものが後にくるのは問題でしょう。これは医療制度の問題でもありますが。
薬剤師過程も6年生に移行しましたが、数年の違いで医師の処方意図を理解するにはかなり厳しいと思います。医師には専門があるのに(内科、泌尿器科など)薬剤師はすべての薬に対応しなくてはなりません。また更に言えば、薬局においてはカルテを確認できないので患者さんの情報を正しく把握することは至難の業です。医者で聞かれたことをなんで薬局でも言わなきゃいけないんだって言われますが、薬には二つの異なった使い方があって、それぞれ用量が異なるので、どうしても確認しなくてはいけないことがあるのです。患者さんの記録を医療機関で共有できないという「医療制度の問題」もあります。毎病院、薬局ごとに初回問診票を書かなければいけなかったり、今の医療制度は非常に非効率です。医療情報というかなり重要な個人情報を含んでいるとはいえ、コスト、利便性の問題からはいち早く一元管理できるシステムが導入されることを願います。おそらく「マイナンバー制」で大きく変わると思いますが。

医療業界は既得権が大きくなかなか変化のない業態ですが、今後数年で大きく変わるような気がします。
その理由は世の中の情報化がかなりの速度で進んでいるからです。医療は科学のように思われがちですが、実際は統計学です。つまりデータの学問。
一般の人がすべてのデータに容易にアクセスできるようになれば、こういった職業は需要がなくなっていくのでしょうか?(外科的処置などは別)
特に調剤技術を除けばほぼ知識だけを売り物にしている薬剤師などは今後働き方が大きく変わってくるのではと思っています。

ただ医療や医薬品は非常に複雑なものでなかなか普通の人には理解できない部分が多いと思うので、その部分ではまだ職業的意義がありそうです。
高齢化を医療の高度化のおかげでここ数年はかなり甘い汁を吸ってきた薬剤師もそろそろ岐路に立たされているのではと感じます。
薬のスペシャリストであるだけではなく、代替医療など専門範囲を拡大する努力も必要そうですね、、、、